生乳本来の味が楽しめる香取村のむヨーグルト

大山の北側の中腹に広がる香取村は広大な牧草地帯が広がり、鳥取県でも有数の酪農地帯で知られています。大山の北壁、日本海を望む香取展望駐車場の隣に位置する「香取村ミルクプラント」があります。

訪れたのは冬の日。香取のはまだたくさんの雪が残る。

 

この「香取村ミルクプラント」は香取で育てられた牛から「香取村のむヨーグルト」を作っています。大山山麓の牧草地で飼育された乳牛の絞り立ての生乳を使い、ノンホモジナイズド処理で増粘剤や安定剤を使わず、美味しくかつ安心安全なヨーグルトを提供しています。

標高350メートルから1000メートルに位置する香取村は昭和21年に中国から引き上げてきた第8次樺林開拓団を中心にした100戸余りの入植団体でした。入植者のほとんどが香川県出身であり、香川県の「香」と鳥取県の「取」を合わせて香取村という名前がつけられました。現在の香取村の前身はは入植者の人たちの「香取開拓団」であり、現在は大型専業酪農家を中心とした「香取開拓農業協同組合」となっています。

工場に併設された売店には香取の歴史を感じる写真が展示されている。

ミルクプラントの初代工場長の坂田さんは牛乳の消費が落ち込む中、どうやったら牛乳に親しんでもらえるか、どうしたら牛乳がより美味しく口にしてもらえるかを仲間たちと考え、飲むヨーグルト作りを始めました。現在ではヨーグルトやチーズなど日常にある乳製品ですが、当時はポピュラーなものではなく、香取村ミルクプラントでも昭和62年から本格的に乳製品の製造がスタートしました。そして現在では「香取村のむヨーグルト」は大山みやげとして、特産品として、そして私たちの日常に欠かせないものとなっています。

大きなヨーグルト製造工場で働くのはなんと4人。たった4人で1日およそ1000本ほどののむヨーグルトを製造しています。今回お話を伺ったのは工場長の三好さんです。

工場長の三好さん。

三好さんはヨーグルト作り一筋24年。ご両親も酪農にたずさわる仕事をされていたそうで、酪農は子供の頃から身近なものでした。「うちの飲むヨーグルトの自慢はとにかくおいしい。それは自信を持って言えますよ」と話す三好さん。

香取村のむヨーグルトのおいしさの秘訣は、まず新鮮な生乳を使っているということ。豊かで広大な大山の自然の中で育てられた乳牛から絞った生乳を、その日のうちにヨーグルトにします。搾乳から製品化するまで時間をかけないことはフレッシュなヨーグルトの秘訣でもあります。この香取村で育てられた乳牛の生乳を香取村でヨーグルトを作る。火口までの時間をかけず私たちの手に届くことは、このおいしさの理由のひとつです。

そして次のおいしさの秘訣はノンホモジナイズド処理であること。このノンホモジナイズド処理、たまに耳にしますがどういうことなのでしょうか。「生乳には脂肪のかたまりが混ざっています。この脂肪のかたまりは不均一で分離しやすく製品化しにくいのです。それをホモジナイズド処理をすることで生乳の脂肪のかたまりを均一化することでさらっとした牛乳ができるわけですが、これをしてしまうと生乳本来の香りや風味が損なわれてしまうこともあります」。のむヨーグルトは生乳本来の香りや味を存分に味わってもらうため、このホモジナイズド処理をしないノンホモジナイズド処理をし、長時間低温発酵することで自然でおいしいヨーグルト作りをしているそう。この飲むヨーグルトは市販の飲むヨーグルトと飲み口が全く違いますね、というと「そうなんです。それがノンホモジナイズド処理、低温発酵の特徴ですね」とおっしゃいました。コップに移すとこのノンホモジナイズド特有のとろみがわかります。「どうしても分離してしまうので、飲む前には混ぜたりふったりして飲んでくださいね」とのこと。トロリとした食感と濃い味。口に広がる爽やかな味がおいしさを引き立てます。

私はこんな濃厚なヨーグルト飲んだことありませんでした。

この香取村ミルクプラントは商品を買うこともできますが、タイミングが合えば製造工程を窓越しに見学できます。見学した後は工場の隣の香取展望駐車場は絶景ポイントでもあるので、飲むヨーグルトを片手にひとやすみしてはいかがでしょう。ぜひ大山のふもとでこの美味しさを感じてみてください。

【香取ミルクプラント】

〒689-3316

鳥取県西伯郡大山町豊房字草谷原2595-8

0859-53-8850

定休日:毎週木・日曜日

営業時間:8:30〜16:30

ここで買えます

・道の駅 大山めぐみの里